音楽ソフトのフォーマットは、その時代の音響ハードウェアメーカーの思惑が垣間見れて楽しいものがあります。
1992年にSONYが「Mini Disc(略してMD)」を開発・販売開始しました。これは、情報量を間引きすることで、直径6.4センチのディスクに長時間デジタル録音・再生できるメディアで、小型ゆえカセット・ウォークマンに代って携帯用音楽プレーヤーの王者の地位に就きました。
そこでSONYは、MDデッキやMDウォークマンを売るために、CBS・SONYが販売権を持つ大物アーティストの作品をMDソフトとしてどんどん発売しました。たまたま、その当時、CBS・SONYが販売権を持っていたROLLING STONESは、ROLLING STONES RECORD時代の作品がMDで発売されてました。その他にもBOBDYLAN、BRUCE SPRINGSTEENなどがMDで出てます。ビートルズ関係では、海外でPAULのOFF THE GROUNDが発売されていました。
当時拙者は、CDからせっせとMDに録音し、電車の中で聞いていたのを思い出しますが、MDウォークマンを買った大多数の人はこのような使い方をしていたのではないでしょうか?つまり、CDを持っている人は、わざわざ新品のMDソフトを買わない。CDを持たずMDのみ持っている人は、極めて少数。おまけに価格もCDと同じ2300円だ。
従ってMDソフトは売れない → 少数生産 → すぐ廃盤 → コレクターズ・アイテムへ昇格。拙者も気づいてからはSTONESのMDを探し廻りましたが、未だにコンプリートになりません。
今やMDウォークマンも過去のものとなり、iPODを中心とするPC系音楽プレーヤーの時代。「音楽ソフト」という言葉も、もう意味を持たない時代になってしまいました。
今となっては、1コレクターとして当時CBS・SONY がSTONESの発売権を持っていた、という「偶然」に感謝したいと思います。
(写真:大きい方は紙ジャケCD、小さい方がMini Disc)