shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

「SGT. PEPPERS」UK盤初版ジャケット考察

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「SGT. PEPPERS」UK盤のジャケットにはいくつかのヴァリエーションが存在し、そのうちどれが初版なのか、はいろいろ論議されているのはご承知のとおりです。

昨日届いた「Beatles Club」の会報の表紙を飾ったのは、発売40周年を迎える同盤を手に持つビートルズの写真でした。この写真が撮られたのは1967年5月19日で、6月1日に発売する同盤のプロモーションのためにビートルズが集まった時のものである事を考えると、この写真から初版ジャケット論争に1つの結論を出すことができるのではないか、と考えられます。つまり、この写真で彼らが持つジャケットこそが、発売2週間前に刷り上っていたジャケットなわけです。

それでは、彼らが手に持つジャケットを類推してみましょう。この時の写真は少なくとも3枚以上が存在します。それぞれジャケットの「表裏」「中開き」「表面と上部」が見えるアングルで撮られております。

 

まず「中開き」を見ることができるのが「Beatles Club」の会報の表紙です。ここで注目は、見開き向かって右側のフリップバックです。なにも書かれていないことが分かります。つまり、これは所謂「4th Proof」ジャケットではない、という事です。また、この見開き写真の折れ目の部分のシワ具合を覚えておいてください(①)。

 

次に「表面と上部」を見ることができるのが、添付の写真です。ここでは上部の背の部分に注目ください(②)。最後に「表裏」を見ることができるのが、例えばVinyl Experince製「赤盤・青盤BOX」の付属ブックレットに掲載されている写真です。ここでは背の部分に注目ください(③)。

結論は、この時、彼らが手にしているジャケットは所謂「WIDE SPINE」ヴァージョンに間違いがありません。できれば「WIDE SPINE」と普通のヴァージョンの現物を写真と同じアングルで並べていただけると、一目瞭然です。(①、②、③を写真で比較するのは別の機会といたします。)

ポールが「SGTのジャケットは紙の厚さにもこだわった。費用の関係で第2版からは普通の厚さに戻った」と言った事を勘案すると、この時、EMIが彼らに手渡したジャケットは「WIDE SPINE」でなくてはならなかったのです。

ただし、発売日当日にレコード屋さんの店頭に並んだのが「初版」とするならば、「WIDE SPINEのみが初版」とは言い切れません。一般的な論議のように、発売日当日に数10万枚を用意するために、数箇所で印刷・製造されていた結果、数種類のバージョンが店頭に並んだのは事実でしょう。

言ってみれば、「WIDE SPINE」はビートルズの意思が反映された数少ない限定ジャケットと言う事ができるのではないでしょうか?

ところで、「SGT. PEPPERS」発売40年記念日まであと40日となったわけですが、
EMIやAPPLE側から何のアナウンスもされてないようです。
残念ながら、今回も何もないのかな?