shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

UK盤 THE BEATLES(ホワイトアルバム)の探求盤

先日、某レコード店Youtubeを見ていたらTHE BEATLES(通称ホワイトアルバム)の初盤にはポートレート4枚を封入したビニール袋がついていた、という話をされていました。かれこれ30年以上UK盤を探し求めていますが、この袋は実は見たことも聞いたこともありませんでした。まだまだ知らないアイテムがありますね。

今日はそのホワイトアルバムのお話。

THE BEATLES(mono:PMC7067-8、stereo:PCS7067-8)のステレオ盤のレーベルの変遷はダークアップルで中央の「SOLD IN UK〜」というセントラルリマーク①と左側の「An E.M.I. Recording」という文字列②の関係で、A「①あり②なし」→B「①あり②あり」→C「①なし②あり」と続いて、D「①なし②あり(括弧ありで2段書き)」そして色の薄いライトアップルレーベルという流れになります。

ほかのタイトルでもそうですが、両Sideでタイプが異なったり2枚組ゆえ1枚目と2枚目が異なったりするハイブリッド盤も多数あります。

そこで拙者の探求盤ですが、ダークアップルでセントラルリマークなし、「An E.M.I. Recording」が括弧ありで2段書きの「Dタイプ」なのです。このタイプはジャケットでいうとシリアルナンバーありのサイドオープンに入っていることが多く、そこに目星を付けると探しやすく、実際にはそれほど苦労はしません。

それではなぜ探求盤なのかというと、先のハイブリッド盤の話、実は1枚目のSide AとSide BのDタイプがなかなか見つからないのです。不思議です。 

これはDタイプのSide C面

これ以降のライトアップルレーベルがこのタイプになることが本盤の探索を難しくしており、上の写真のようにネット上ではダークアップとライトアップルの見分けがつきにくく購入に二の足を踏んでしまいます。

まあ、探すものがあるということはモチベーションにもなります。このDタイプそして保護紙用のビニール袋、気長に探していきたいと思います。

 

 

 

 

 

「 ビニ焼け」被害報告。コレクターの皆さん、お気をつけください。

今日のお話はレコードの「塩ビ焼け」、いわゆる「ビニ焼け」。レコ―ド盤が白く曇ってジリジリ、ザーザーノイズが出るアレであります。これの被害にあった時のショックはレコードコレクターにとっては筆舌に尽くしがたい。これによりミント盤がVG盤に成り下がる時には、この怒りをどこにぶつけていいのか、自分の管理が悪いとはいえ、レコードをたたき割りたい衝動にも駆られるほどでありましょう。

ビニ焼け状態のレコード。触っても指紋もつかない。

拙者がこの「ビニ焼け」が空気伝染することを知ったのは、実はつい最近なのであります。この「ビニ焼け」、昔からコレクター泣かせで、よくあるのがピクチャーレコード等で使用される厚手で透明度が高い柔らかめのポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride 略してPVC)製のアウタースリーブ(以下、PVCスリーブと言います)が、ジャケットやレコードに接触して化学反応が起こり、保管状態が悪ければ(高温、高湿とか)ジャケットはへばりつき、レコードは可塑剤が浮き出て変色、白濁、光沢が失われ耳障りなノイズを発生させるというものであります。しかも今の段階では元に戻すのはできないようです。

ピクチュアレコードでよく使われているPCVスリーブ

拙者も2010年頃にこれに気付いた時はすでに遅し。新品で買ったビートルズの20周年ピクチャーシングルがその被害にあい、ほとんどがボロ盤に成り下がりました。

これ以降このPVCスリーブの扱いには慎重になり、まずはピクチャーレコードは普通の半透明のインナースリーブに入れたうえでそのままPVCスリーブに収納。LPレコードやピクチャスリーブのある日本盤、US盤、フランス盤などのシングル盤は、PVCスリーブを捨てて普通の薄手のビニール製のアウタースリーブ(PPスリーブというらしい))に入れ替え、レコードやジャケットが直接このPVCスリーブに接しないように対策を講じました。

一方でもともとピクチャスリーブのないUK盤シングルは、ピクチャレコードと同じようにインナースリーブに入れたうえでPVCスリーブに入れて保管。そしてレコードのコレクション1000枚以上を全点検しました。しかし、この時にこのPVCスリーブをすべて捨てなかったことが今回の悲劇を生むことになったのです。

先日、ビートルズUK盤の世界的研究者であり著名なディーラーであるParlogram Auctionのオーナー、Andrewがこのビニ焼け問題をテーマに配信したYoutubeを見たところ、そこには恐ろしい事実が紹介されていたのでした。

STOP Using PVC Covers on Your Vinyl Before It’s Too Late! - YouTube

なんと、このPVCスリープから発せられるビニ焼けを引き起こす成分は空気伝染するとのこと。つまり接触していなくとも紙やビニールなどの物質を通り抜けて悪さをするのです。

急いでコレクションをチェックすると悪い予感が的中。PVCスリーブに入ったレコードはもちろん、その前後に並んでいたレコードにまで被害が及んでいたのです。もう真っ青です。すぐにPVCスリーブを捨てたのは言うまでもありません。

こんな百害あって一利なし(と思える)のPVCスリーブ、とうの昔に製造中止になっていると思いきや、まだまだ普通に使われ売られているんです。最近では2019年のレコードストアデイの限定商品、ローリングストーンズの「スルー・ザ・パスト・ダークリー」(PROT-7045)のアウタースリーブとして使われています。慌てて新品を開けて確認、PPスリーブは波打って被害があったがレコードはなんとかセーフでした。

これを買った人は要注意!

しかし、このPVCスリーブにはRECORD STORE DAYのカスタムステッカーが貼られており、完全にこの限定版の一部になっています。捨てるわけにもいかず、どうやって保存するか?困ったものです。

Beatles US盤「SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」"Capitol Executives" Cover

今年4月の「SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」の”Red Eye Cover”を紹介した記事の最後にUS盤でキャピトルレコード社の重役の顔に差し替えられた別ジャケットのことを書きましたが、自分的にはその存在に疑問を感じていたのです。

ところが、です。

最近この幻盤が海外のオークションサイトeBayに出品され、5月20日になんと175,000ドル(約2500万円)で落札されたのです!

そのeBayでの商品説明によると、このレコードはキャピトルレコード社の1967年のクリスマスパーティで招待された方々に配られ、枚数は100枚以下のようです。

最初にこのレコードが市場に出たのは1980年代にロスアンゼルスのRockaway Recordsが販売した1枚で、その後にさらに2枚が売りに出されましたが、ボロボロの状態のものもあり状態は良くなかったようです。

それに対して今回出品されたものはシールド状態の極上品。セラーのJohn Teftellerは著名なレコード研究家/蒐集家で、もう何年も前にキャピトルレコード社のセールスマンから買ったとのこと。

これがその博物館級のアイテム"Capitol Executives" Coverです。もちろん拙者が所有しているわけがありません。画像はeBayサイトから拝借しました。

ビートルズの4人はもちろん、バックの観衆の顔もキャピトルレコード社の幹部や営業担当者に差し替えられています。

もう40年ほど前からその存在は確認されていたようですが、拙者はこのアルバムのことは最近知りました。Bruce SpizerやPerry Coxの本では紹介されていたのでしょうか?

まだまだ勉強不足ですね〜。

 

 

 

変態盤紹介 その1 スタンパー刻印の位置が違う ビートルズ UK盤 HELP

拙ブログのアクセス分析を見ていると、 午前3時から5時ころに急にアクセス数が増える日があります。時間的に国内というより、最近は翻訳ソフトの精度も劇的に良くなっていることもあり、どうやらヨーロッパのマニアの方にもご覧いただいているのではないか、と思ったりしています。

このところアクセスが多い記事は去年の7月に書いた「シングルスタンパーを探し求めると」で、やはり皆さま若いスタンパーのレコードに興味がおありのようです。今日はそのスタンパーに関連する、ちょっと違うお話です。

BeatlesのUK盤、EMIプレスの場合、マトリクス番号が6時の位置とすると、マザー番号が9時、そしてスタンパー番号が3時とルールが決まっています。ところが拙者が所有する中にスタンパー番号がなんと12時の位置に刻印されているものがあります。

この写真をご覧ください。

アルバムHELPのステレオ盤PCS3071、イエローパーロフォンのType4レーベル(THE GRAMOPHONEリムでSOLD IN UKのリマークなし)のB面です。

6時の位置にマトリクス番号「YEX 169-1」、画像のように9時の位置にマザー番号「3」、そしてその右上にスタンパー番号「PH」が12時(正確にいうと11時30分ごろ)の位置に刻印されています。

文字の方向からして単なる位置の打ち間違いと思われ、当然同じスタンパーでプレスされたレコードは同じことになっているので一定枚数は存在します。

所有するLP、シングル、EPのレーベルA面、B面で言ったら1000以上の中のたった1面にある変態盤。これからもマニアでないと気づかないようなものも含めて、このようなルール違反の変態盤を紹介していきたいと思いますので、お楽しみに。

 

 

 

 

 

Richard Noller著「MADE IN THE U.K. - A Complete Overview Of The Beatles’ Singles Manufactured In The U.K.」

1月に紹介したビートルズのUK盤シングルのレーベルガイド、Richard Noller著「MADE IN THE U.K. - A Complete Overview Of The Beatles’ Singles Manufactured In The U.K.」を買いました。

シングル盤だけでこの厚さ

前宣伝の触れ込みどおりのすごい1冊。もうこれがあれば他は不要。続編でアルバム編、EP編がリリースされれば、長年、拙者のバイブルであったBruce Spizer先生の「The Beatles For Sale On Parlophone Records」も本棚の奥にしまって置く時が来ることは間違いなし

レーベル写真も大きく鮮明

掲載されているものは全て「存在するもの」と前置きした上で、おそらく今まで実際に発売されたものに加えて、アセテイト盤やテストプレス等はさまざまな文献や資料(紙、ウェブ)で紹介されたもののほとんどが網羅されていると思われる。特に後者がひとまとめにして見れるのは本書の最大の魅力。

初めて見る多くのPlease Please Meのアセテイト盤たち

700ページ近い本書のうち半分はビートルズ現役時代のレコードと彼らが楽曲提供したアーティストのレコード。ほとんどがデモレコード等の関連資料も含めた内容なのがスゴイ。もう半分は解散以降のレコード、CD、カセットが占める(こちらは拙者は全く興味がない)。最新では拙ブログで2021年に紹介したHey Jude のトライアングルセンターまで網羅されています(これはフェイクらしい)。

新レーベルの発見も多々ありますが、Hey JudeからLet It BeまでのオリジナルAppleレーベルにはラージホール(USや日本製シングルのようなドーナツ盤)が存在しますが、これらは全く紹介されていない(先のThe Beatles For Sale On Parlophone Recordsも同じ)。よく読むと当時のEMIではラージホールが製造されておらず、どうやらこれはフェイクのようです。

本書は限定500部ということで残念ながらお値段が高い。出版社から直に買っても送料を含めて16,000円近い出費となります。続篇のアルバム編、EP編を揃えると思うとゾッとしますがUK盤のガイド本はこれらが最終版となると思われます。

まだ売っているようですので、ご興味がある方はどうぞ。

Book – Made in the U.K. – Apcor Books and Records

UK盤 SGT. PEPPERS LONELY HEARTS CLUB BAND の"Red Eye Cover" 探索

ビートルズのUK盤においてジャケットのヴァリエーション違いは、プリンター2社やMONO/STEREOのロゴの種類、ホワイトアルバムのシリアル番号以外にはPLEASE PLEASE MEのAngus McCbeanの右ずれジャケット、HELPやSGT.PEPPERS LONELY HEARTS CLUB BANDの配色ずれジャケット、ABBEY ROADのCloud(雲)ジャケットなんかがありますが、マニアが探し求めるレアジャケットはあまり多くないと思います。

SGT.PEPPERS LONELY HEARTS CLUB BANDのUKオリジナル盤ジャケットの中に、見開き面のジョージの右目の下が赤くなったものがあることを知ったのは昨年11月のディスクユニオンさんのブログでした。

【本日の一枚(特別編)】ニュー・ディスカバリー? ~ 『Sgt. Pepper's-』禁断の「Red Eye Cover」を発掘! : ディスクユニオン新宿ロックレコードストア

そのブログによるとずいぶん昔からその存在は知られていたようですが、拙者は全く聞いたことがありませんでした。なんでもこのジャケット撮影当時、ジョージが右目のしたを怪我していた、これを画像処理で修正したが修正漏れのジャケットが残っていた、なんていい加減な話なんかも出てきます。

そこで拙者も自分のコレクションを引っ張り出し探してみました。

 

はい、ありました! 1枚だけ。STEREO盤です。

ほかのタイトルのジャケットもそうですが、一枚一枚見比べてみると微妙に色合いが違うジャケットが存在します。このSGTもしかりで、このRed Eye Coverは全体的に色合いが赤っぽく、これと通常のものとの中間の色合いのジャケットも存在します。
入っているレコードはYellow ParlophoneレーベルのType4、つまりTHE GRAMOPHONEリムでSOLD IN UK〜のリマークなしです。これは先のディスクユニオンさんのものと同じです。ということは、このタイプのレコードが入っているジャケットを探すとRed Eye Coverに近づきそうです。

個人的にはこれはそんな激レアなアイテムではなく、単なるジャケットの色目違い説に1票を投じます。

 

最後に多くの有名人が登場するこのジャッケット、US盤の中には発売元のキャピトルレコードの重役の顔が追加されたジャケットが存在する様です。この話は某有名レコード店YouTube動画に出てきます。

↓の4分20秒あたり

ビートルズTheBeatlesのSGT.PeppersLonelyHeartsClubBand英国盤UK/Englandを中心にゲストのSasasanと永山がアナログの魅力を徹底紹介と検証と解説 - YouTube

 

UK盤 HELP スモールmonoジャケット

UK盤 HELPのモノラル盤(PMC1255)のジャケットのほぼ99%はは右上にミドルサイズのアウトラインで「mono」と表示されたものです。

ごく稀に1969年後半に発売された「mono表記が無いもの」もあり、このジャケットにはEMIワンマークのモノラル盤というウルトラレアなレーベルのHELPがセットされていることが多いです。

さて、表題UK盤 HELPのスモールmonoジャケット(海外のマニアには"SOLID MONO SLEEVE"と呼ばれる)。これは上の表記なしジャケットよりも珍しいメガレアなジャケットでしょう。拙者もこれまで2回しか確認したことがありません。

そのメガレアなジャケット。先月、eBayに出品され状態も素晴らしく十数万円で落札されました。知らない人は「なぜHELPなのに」と思われた方も多かったでしょう。そう、HELPは高値の花のビートルズのオリジナルUK盤の中でも人気がなく、あまり値がつかない代表選手なのです。

(画像はeBayサイトから拝借しました)

中に入っているレコードは通常のモノラルのType3、つまりGramophoneリムでSOLD IN UKのセントラルリマークのあるレーベルです。

拙ブログでも紹介したWITH THE BEATLESスモールmonoジャケットに匹敵するようなレア盤。まだまだ珍しいアイテムにはそれなりの価値があるということでしょうか。