shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

「 ビニ焼け」被害報告。コレクターの皆さん、お気をつけください。

今日のお話はレコードの「塩ビ焼け」、いわゆる「ビニ焼け」。レコ―ド盤が白く曇ってジリジリ、ザーザーノイズが出るアレであります。これの被害にあった時のショックはレコードコレクターにとっては筆舌に尽くしがたい。これによりミント盤がVG盤に成り下がる時には、この怒りをどこにぶつけていいのか、自分の管理が悪いとはいえ、レコードをたたき割りたい衝動にも駆られるほどでありましょう。

ビニ焼け状態のレコード。触っても指紋もつかない。

拙者がこの「ビニ焼け」が空気伝染することを知ったのは、実はつい最近なのであります。この「ビニ焼け」、昔からコレクター泣かせで、よくあるのがピクチャーレコード等で使用される厚手で透明度が高い柔らかめのポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride 略してPVC)製のアウタースリーブ(以下、PVCスリーブと言います)が、ジャケットやレコードに接触して化学反応が起こり、保管状態が悪ければ(高温、高湿とか)ジャケットはへばりつき、レコードは可塑剤が浮き出て変色、白濁、光沢が失われ耳障りなノイズを発生させるというものであります。しかも今の段階では元に戻すのはできないようです。

ピクチュアレコードでよく使われているPCVスリーブ

拙者も2010年頃にこれに気付いた時はすでに遅し。新品で買ったビートルズの20周年ピクチャーシングルがその被害にあい、ほとんどがボロ盤に成り下がりました。

これ以降このPVCスリーブの扱いには慎重になり、まずはピクチャーレコードは普通の半透明のインナースリーブに入れたうえでそのままPVCスリーブに収納。LPレコードやピクチャスリーブのある日本盤、US盤、フランス盤などのシングル盤は、PVCスリーブを捨てて普通の薄手のビニール製のアウタースリーブ(PPスリーブというらしい))に入れ替え、レコードやジャケットが直接このPVCスリーブに接しないように対策を講じました。

一方でもともとピクチャスリーブのないUK盤シングルは、ピクチャレコードと同じようにインナースリーブに入れたうえでPVCスリーブに入れて保管。そしてレコードのコレクション1000枚以上を全点検しました。しかし、この時にこのPVCスリーブをすべて捨てなかったことが今回の悲劇を生むことになったのです。

先日、ビートルズUK盤の世界的研究者であり著名なディーラーであるParlogram Auctionのオーナー、Andrewがこのビニ焼け問題をテーマに配信したYoutubeを見たところ、そこには恐ろしい事実が紹介されていたのでした。

STOP Using PVC Covers on Your Vinyl Before It’s Too Late! - YouTube

なんと、このPVCスリープから発せられるビニ焼けを引き起こす成分は空気伝染するとのこと。つまり接触していなくとも紙やビニールなどの物質を通り抜けて悪さをするのです。

急いでコレクションをチェックすると悪い予感が的中。PVCスリーブに入ったレコードはもちろん、その前後に並んでいたレコードにまで被害が及んでいたのです。もう真っ青です。すぐにPVCスリーブを捨てたのは言うまでもありません。

こんな百害あって一利なし(と思える)のPVCスリーブ、とうの昔に製造中止になっていると思いきや、まだまだ普通に使われ売られているんです。最近では2019年のレコードストアデイの限定商品、ローリングストーンズの「スルー・ザ・パスト・ダークリー」(PROT-7045)のアウタースリーブとして使われています。慌てて新品を開けて確認、PPスリーブは波打って被害があったがレコードはなんとかセーフでした。

これを買った人は要注意!

しかし、このPVCスリーブにはRECORD STORE DAYのカスタムステッカーが貼られており、完全にこの限定版の一部になっています。捨てるわけにもいかず、どうやって保存するか?困ったものです。