shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

京都の中古レコード店 ホットラインさんのこと

1980年ころから京都近辺で中古レコード店まわりをされていた方でホットラインさんを知らない方はいないでしょう。京都市役所のそばのビルの3階にお店があり、2000年に入ってからは歩くのも難儀するほどレコードが置かれていました。

1年ほど前に行った時にお店がないことがわかり閉店されたのかと思っていたところ、少し離れたところに移転したことがわかり、訪問すると規模をかなり縮小されて営業されていました。

そのホットラインさん、昨年秋にクラウドファンディングされていることを知りました。どうやらコロナ禍で家賃の支払いもできないほど売上が落ち込み、やむを得ず移転されたとのこと。お店を続けていくための資金をクラファンでなんとか、というご事情。

ホットラインさんへは1980年代の後半から、もう100回以上は行ったでしょうか。店主は滅多に店にいらっしゃることはなかったですね。何人かの方が店番をされていました。その中のお一人とよく話ができる間柄になって、中古レコード市場のこともいろいろ教えていただきました。

品揃えは歌謡曲からクラシックまで幅広く、特に日本盤に強く価格は良心的でしたね。一方でビートルズのUKオリジナル盤の値付けが甘く(失礼!)、レア盤を結構安く買うことができました。(ありがとうございました!)

インターネットが全盛になってからもネット通販には手を出さずリアル店舗1本で頑張っておられました。近くに白味噌ラーメンで有名な「新進亭」(今は一乗寺に移転)や「京平」(コロナ後に閉店)といった美味しいラーメンを食べてホットラインに行くことが休みの日のお決まりのコースでした。

そのホットラインさんのクラファンの特典である「店主のエッセイ小冊子」が届きました。大阪に中古レコードの師匠がいらっしゃったとのこと。当時の大阪の中古レコード店といえばフォーエヴァーレコード、LPコーナー、名曲堂、ビッグピンク、イースト、ワルツ堂……、懐かしいですね。

ホットラインさんには京都の中古レコードのリーダーとして、これからも頑張ってお店を続きたく応援させていただきたいと思います。

 

 

ビートルズの新しいUK盤のレーベルガイド MADE IN THE U.K.

前回にレーベルガイドの話をしたばかりなのに、2023年に入って早々ビッグニュースが飛び込んで来ました。Beatlesの新しいUK盤のレーベルガイドが発売されます。

Richard Noller著「MADE IN THE U.K. - A Complete Overview Of The Beatles’ Singles Manufactured In The U.K.

シングル盤に特化したレーベルガイド本のようで限定500部。Beatlesに関連する1950年代(クオリーメン!)から現在に至るまでのUK盤が対象、ハードバック仕様で668ページ、2700点以上の写真を掲載とのことです。

レーベルやスリーブはもちろん、宣伝用のメモラビリア、シートミュージックなど関連情報も網羅した内容。ページ数だけで言えばシングル盤だけで拙者のバイブルである「The Beatles Foe Sale On Parlophone Record」のLP、シングル、EPの合計と同等という恐ろしい本。

発売元は以前拙ブログでもご紹介した「A Is For Apple」以降、この手のBeatlesAppleの研究本を発行し続けているApcor Books And Record社なので期待は大きい。

個人で輸入すると価格は65ユーロ(約9100円)ですが、送料が高いので合計16000円超になりそう。この手の本は今まで名古屋のライムハウスさんが輸入販売してくれていたのですが、今は活動休止中。某ユニオンさんあたりに扱っていただきたいところですが、利益を乗せると同じような価格になりそう。

これも買うか買うまいか悩んでいますが、結局は買うんだろうなぁ〜。もう少し円高にならないかなぁ〜。

限定500部ですが、まだ予約受付中。

www.apcor.net

ビートルズUK盤コンプリート・ガイド その3

ビートルズUK盤コンプリート・ガイド」の増強改訂版が出ました。2011年の初版の情報修正とそれ以降の発売分も網羅したとの触れ込み。悩んだ 末に、発売後2ヶ月経って結局買ってしまいました

ビートルズのUK盤レーベルガイドがまとまった形で初めて世に出たのは1992年ころのMitch Scharoff氏の「The Beatles : Collecting The Original UK pressings 1962-1970」であろうと思われます。手作りでありながら、ほとんど情報が無かった時代にかなり突っ込んだレーベルバリエーションや情報が紹介されており、その後に出た大判の改訂版とともに重宝したものでした。(両方とも拙宅を探したのですが30年の時間の中で行方不明)

その後は、ビートルズのレコード研究の権威であるBruce SpizerがUS盤やアップル、そしてソロワークスの蒐集、研究をフルカラーでまとめたハードカバーの豪華本シリーズを立て続けに発売したものの、本家UK盤については、年4回発行のTBFC(東京ビートルズファンクラブ)会報のUK盤レーベル研究の連載記事が頼りでした。そのTBFCも2000年代に入り発行ペースが激減。ついに2007年に廃刊となり、ついに個人コレクターのホームページやブログのみが頼り、という時代に入りました。

その暗黒の時代に終止符を打ったのが2011年、先のBruce Spizer先生の「The Beatles For Sale On Parlophone Records」が、日本では本書が今までのレーベル研究を体系的に整理、ヴィジュアル化したガイド本というカタチで発売と相成りなりました。

蒐集対象が1970年までの拙者にとっては「The Beatles On Parlophone」が決定版なのですが、本書は日本語でしかも1970年以降のプレス分も網羅、そしてジャケットやインナースリーブまで子細な解説がある点で便利ですが、前者にくらべてレーベルバリエーションの抜け落ちや、「これ本当?」といった点も散見される点で不満はありました。

 

さて、その本書の増強改訂版。

昨年発売のLET IT BEのリミックス盤まで網羅。今秋発売のREVOLVERは情報のみ。Love Me Doのリンゴバージョンのマスタ―テープが「1982年から始まった発売20周年記念の再発作成のために旧録音テープを調べている時に偶然見つかった」という事実誤認は削除され、以前に拙ブログで指摘したレーベルも一部修正されていました。一方でこれも拙ブログでたびたび発信してきた新発見レーベルはほとんど反映されないなどレーベルバリエーションの抜け落ちの解消は不十分。入手は困難としても今まで通りCGでの再現できなかったのだろうか?また2014年のモノラル再発LPについては「デジタル・リマスタリングによる復刻版」と間違っている。。欲を言ってはきりがないが、著名な研究家やコレクターも協力しての一冊なので拙者としてはちょっと残念。厳しいことを言うようですがこれは期待が高かったという裏返し。現在入手できるレーベルガイドとしてはベストでありましょう。

 

最後に「捜索願い」

以前にも書いたのですが本書旧版の161ページ、改訂版の197ページのEP「The Beatles' Milion Sellers」(GEP8946)のリマークありで、タイトルが「BEATLES' GOLDEN DISC」ではなく正しく「BEATLES' MILLION SELLERS」と修正になったレーベルは本当に存在するんだろうか??情報をお願いします。

 

 

 

BEST OF THE BEATLES CDs と和歌山・福武多聞堂さん

「ベスト・オブ・ザ・ビートルズ」といえば1965年に当時の東芝音楽工業でビートルズ担当だった高嶋氏が本国EMIに無断で発売しようとしてオクラ入りとなったベスト盤(OP-7177)ですね。

時はそれから20年ほど経ってビートルズのアルバムのCD化が実現、その時のプロモーション用CDとして「1962-1987 BEST OF THE BEATLES CDsPCD-29)」を600枚、管理番号付きで製作し関係者に配布しました。東芝EMI内部に「ベスト・オブ・ザ・ビートルズ」の恨みを晴らしたい人がいたのでしょうか、奇しくも同じタイトルですね。その後ほとんどを回収に成功するも、わずかな数が市場に出て高値(10万円以上)で取引されたというレア盤です。

写真はヤフオクから借用しました。

ところが2年ほど前から本盤がヤフオクで頻繁に出品されるようになりました。もとろん個別の管理番号付きです。実は当時(1990年代)か本盤のカウンターフィット(偽もの)の存在は有名で、その見分け方が「ジョンレノン総研」というサイトで紹介されていました。しかしそのサイトはかなり前に閉鎖されており、今は見ることができません。

もう一つ、真贋について記事にしていたのが、和歌山にあった福武多聞堂さんが作作成していたビートルズ関係の通信販売リスト「The Fairy Time 日本古盤通信」の第13号でした。どうしても見たくなって、倉庫の奥から苦労して引っ張り出してきました。

1998年発行。ビートルズやソロのオフィシャル盤やブートレッグの研究記事と通信販売、昭和のアイドルの記事なんかもあります。

今ではDiscogsでも調べることができるので、詳しくはそちらをご覧ください。

そしてその福武多聞堂さん、今は京都でビートルズ中心の古書店としてご商売と続けていらっしゃるようです。なんだか懐かしくなりました。

 

 

 

 

 

 

REVOLVER スーパーデラックスエディション 買うんですか?

拙者が買った最初のREVOLVERはアメリカ盤オレンジレーベルSW-2576でした。それまでは友達のレコード(日本盤)をカセットテープに録音して聞いていました。アルバイトで貯めたお金で買うので、少しでも安い輸入盤を買ったのですが、当時はアメリカ盤は収録曲が少ないことを知らなかったので、好きな曲だった「And Your Bird Can Sing」や「Dr.Robert」が入ってなくて本当にショックだったことを思い出します。

さて、表題「REVOLVER」のスペシャルエディション(5枚組スーパーデラックス)です。今までこのシリーズは欠かさず買ってきたのですが、今回はちょっと…という感じです。

もともとリミックスには興味は無く、オリジナルmonoも既に090909のモノボックスで発表済み。さらにハイレゾBlu-rayは無し。目当てのセッション音源(アウトテイク)2CDは、レコードコレクターズ誌の最新号を読んでも既発の音源(らしい)も多く魅力的な素材は少ない。以前書いたUSキャピトルオリジナルミックスの収録も見送られた。ブックレットは欲しいが、これで日本盤は21,450円。円安や原油・原材料高もあるだろうけど最初から売れないことを見越して製造量を落として単価が上がったのか、とも勘繰ってしまう。

アウトテイクが聴きたい拙者にとっては、ABBEY ROAD辺りから始まったアナログ連動のおかげでセッション音源が減らされているのが不満の上に、この実質的な大幅値上げ。満足度の低下は否めない。

買うとしても輸入盤を買うか(HMVの”輸入CD5枚買えば40%OFF”を使えば13,000円くらいになる)、中古で買うか、究極はヤフオクあたりに出てくるであろうバラ売りで買うか。2CD盤でも十分という気もしてきた(悲)。

 

 

ビートルズ あの有名なジャケット写真の撮影日は?

ザ・ビートルズ 最後のレコーディング ー ソリッドステート(トランジスター)革命とアビイ・ロード」(著者 Kenneth Womack 日本版発売2021年)を読みました。

1969年1月のゲットバックセッションから解散まで1年半のドキュメントで、ABBEY ROADやLET IT BEの50周年企画とタイミングを合わせて出版された多くの関連本の中の1冊ですが、結構興味深く読むことができました。

実はこの本の中で一番驚いたのは、この有名なジャケット写真の撮影日がはっきりと書かれていたことです。

ご存じのとおり、これら写真はロンドンのEMI本社ビル(EMIハウス)でカメラマンのAngus Mcbeanが撮影したもので、デビューアルバム「PLEASE PLEASE ME」と”原点に帰る”GET BACK アルバムのジャケットとして、同じ場所で6年という時間を経た4人が同じポーズをとる、という秀逸のアイデアから生まれた2枚です。

今まで「PLEASE PLEASE ME」の撮影は、「ビートルズを歩こう」(Mark Lewisohn著:日本版発売2009年)によると1963年2月16日か2月20日とされ、正確な撮影日は不明でした。

一方の「GET BACK」の撮影日については、前書によると複数枚撮影されたうちの1枚は1969年5月13日。また「旧版GET BACK NAKED」(藤本国彦著 2016年)の巻末付録の「ビートルズのデザイン(松田行正著)」によると、「依頼を受けたMcbeanは5月20日に現場へ行ったものの新たに玄関にポーチが設置されていて同じアングルで撮影できず、EMIに交渉してそのポーチを撤去するよう依頼した。後日、2日にわたって撮影が行われたが採用されたのは2日目の写真だった」。つまり撮影日は特定されていないが、5月20日以降となります。

ところがこの「ザ・ビートルズ 最後のレコーディング 」では前者が1963年3月5日、後者が1969年5月13日(正確には「撮影は5月13日にリスケジュールされた」)と明記されているんですね。

Mark Lewisohnのビートルズ全記録によると1963年2月16日と20日はコンサート、3月5日はEMIスタジオでセッション(ブートで有名な日)となっていますが、同日にEMI本社前で4人がDick JamesとGeorge Martinと共に写っている写真があります。そして1969年5月13日や20日以降にはグループの活動の記録がありません。

この著書での記述の出典元は不明ですが、興味深い情報だと思います。

のちに別ショットが赤盤と青盤に採用された曰く付きの2枚。「PLEASE PLEASE ME」のオリジナルネガは間違って掃除のスタッフに捨てられてしまい、もうこの世に存在しないらしいです。悲劇ですね。

 

 

 

 

疑惑が晴れた? UK盤 REVOLVER mono ジャケット

このブログでも以前書いたことのある、拙者の愛読書TBFC(東京ビートルズファンクラブ)会報のUK盤レーベル研究に「REVOLVEのモノラル盤ジャケットにmono表示が無いものがある」と読んだのが今から20年くらい前。その後このジャケットを探しても全く見つからず、果たして本当に存在するのか疑問に思っていました。

ところが、これも最近記事にしたビートルズに強い中古レコード通販店のライムハウスさんのリストNO.156でその手がかりを発見。

このREVOLVERのジャケットの印刷会社は「Garrod & Lofthouse Ltd.」と「Ernest J. Day &Co Ltd.」の2社があり、それぞれmono盤とstereo盤の両方あります。しかし、ほとんどがGarrod製でErnest製は珍しい。

で、本題のmonoジャケットですが「mono」表示の大きさが微妙に違う2種類あるわけですが、その大半が長さが19mmのもの(サイズはライムハウスさんのリストより)で、これにはGarrod製とErnest製の両方があります。

(この写真はライムハウスさんのリストから拝借しました)

もう一方の微妙に大きい20mmの方はどうやらErnest製しかなく、その文字の表面が凹凸しており、コーティングの上からインクを載せた仕様で、擦ったり薬剤で溶かせば文字は消える可能性をライムハウスさんは指摘しています。つまりTBFCで紹介されたmono表示無しジャケットはこれの可能性が高い、というわけです。

というわけで長年の疑念が晴れてスッキリ。頑張ってこの大きいmonoジャケットを探すという難関にチャレンジしたいと思います。

 

ところで、次のリミックスアルバムはREVOLVERと発表されましたね。確度の高い収録トラック予想も出ていますが、先日記事に書いたUSキャピトルオリジナルミックスが今回は陽の目を見ることはないようです。