shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

ビートルズ あの有名なジャケット写真の撮影日は?

ザ・ビートルズ 最後のレコーディング ー ソリッドステート(トランジスター)革命とアビイ・ロード」(著者 Kenneth Womack 日本版発売2021年)を読みました。

1969年1月のゲットバックセッションから解散まで1年半のドキュメントで、ABBEY ROADやLET IT BEの50周年企画とタイミングを合わせて出版された多くの関連本の中の1冊ですが、結構興味深く読むことができました。

実はこの本の中で一番驚いたのは、この有名なジャケット写真の撮影日がはっきりと書かれていたことです。

ご存じのとおり、これら写真はロンドンのEMI本社ビル(EMIハウス)でカメラマンのAngus Mcbeanが撮影したもので、デビューアルバム「PLEASE PLEASE ME」と”原点に帰る”GET BACK アルバムのジャケットとして、同じ場所で6年という時間を経た4人が同じポーズをとる、という秀逸のアイデアから生まれた2枚です。

今まで「PLEASE PLEASE ME」の撮影は、「ビートルズを歩こう」(Mark Lewisohn著:日本版発売2009年)によると1963年2月16日か2月20日とされ、正確な撮影日は不明でした。

一方の「GET BACK」の撮影日については、前書によると複数枚撮影されたうちの1枚は1969年5月13日。また「旧版GET BACK NAKED」(藤本国彦著 2016年)の巻末付録の「ビートルズのデザイン(松田行正著)」によると、「依頼を受けたMcbeanは5月20日に現場へ行ったものの新たに玄関にポーチが設置されていて同じアングルで撮影できず、EMIに交渉してそのポーチを撤去するよう依頼した。後日、2日にわたって撮影が行われたが採用されたのは2日目の写真だった」。つまり撮影日は特定されていないが、5月20日以降となります。

ところがこの「ザ・ビートルズ 最後のレコーディング 」では前者が1963年3月5日、後者が1969年5月13日(正確には「撮影は5月13日にリスケジュールされた」)と明記されているんですね。

Mark Lewisohnのビートルズ全記録によると1963年2月16日と20日はコンサート、3月5日はEMIスタジオでセッション(ブートで有名な日)となっていますが、同日にEMI本社前で4人がDick JamesとGeorge Martinと共に写っている写真があります。そして1969年5月13日や20日以降にはグループの活動の記録がありません。

この著書での記述の出典元は不明ですが、興味深い情報だと思います。

のちに別ショットが赤盤と青盤に採用された曰く付きの2枚。「PLEASE PLEASE ME」のオリジナルネガは間違って掃除のスタッフに捨てられてしまい、もうこの世に存在しないらしいです。悲劇ですね。