今までレコードコレクターズ誌や東京ビートルズファンクラブ会報などで研究成果が発表されているとおり、「I Want To Hold Your Hand (抱きしめたい)」ステレオミックスは、63年版、65年版、66年版の3種類が存在します。以下、レコードコレクターズ増刊 ザ・ビートルズ コンプリートワークス② P196 「抱きしめたい追跡調査報告」をもとに紹介します(すでにご存じの方は読み飛ばしてください)。まず現在、普通に聞くことができる一般的なミックスが66年版で、これは「A COLLECTION OF BEATLES' OLDIES」に収録するために、1966年11月7日にミキシングされたもの。これから遡ること1年半前、1965年6月8日に西ドイツ、オランダ、オーストラリアなどのステレオ盤レコード用にリミックスされたと思われる65年版があり、これは66年版と微妙な違いこそあれ、それほど大きな差はありません。それで今回ご紹介する、最も初期にミックスされた63年版は、1963年10月21日にミキシングされました。こちらは、ボーカルと演奏がくっきりと左右に振り分けられた、いわゆる「泣き別れミックス」で、他のミックスとは一聴して違いが判るもので、しばらくは使用する目的はなく、お蔵入りしていたミックスでした。そのミックスが突然、陽の目を見たのがなぜかオーストラりアで、1976年ころ発売された再発シングルが、こちらA8103(7XCE17559)であると思われます。
その後、1982年にオーストラリアの「THE BEATLES single collection」(海老茶色のボックスですね)や、同じころに発売されたシングル盤付のべスト盤LP「THE 23 NUMBER ONES (PLAY.1024)」にもこのミックスは収録。
いまでは、このLPの入手が最も簡単ですが、残念ながらイントロがよじれた「ミスマスター版」となっています。
なぜ、オーストラリアだけにこのステレオミックスのマスターがあるのか?
ぜひお聞きください。