shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

デジタルvsアナログ? 「全曲バイブル」と「リマスターCDガイド」

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ビートルズ 全曲バイブル」と「ビートルズ リマスターCDガイド」。今月、ビートルズが正式にリリ-スした「曲」に焦点を当てた注目2冊の本が発表されました。賢明な方はきっと昨日発売の「リマスターCDガイド」を待って、中身を読み比べてからどっちを買うか決められる事でしょう。

拙者の様に2冊とも買うという無謀な方は極少数だと思われます。

さて、先に発売になった「全曲バイブル」。これは既に各方面で紹介されてますので詳細は割愛させていただきますが、本当にすごい本。ビートルズ研究の上級者ほど、この本への満足度は高いでしょう。

目玉である米村氏によるパソコンでの波形分析等による各曲の分析によっては、多くの驚愕の新事実が明らかになりました。まさに「マーク・ルイソンも真っ青」です。人間の耳では判別不能の領域にまで踏み込めたのは、間違いなく「デジタル」でなければできなかった事。拙者もこの本を読みながら、ステレオBOXとモノBOXのCDを取っ替え引っ替え聴き比べている最中。モノCDのリシーラブルのビニール袋の糊が乾いてしまうんじゃないか、と心配になるくらいです。


一方、昨日発売の「リマスターCDガイド」。レココレでもおなじみの森山氏の書き下ろし。リマスターCDと旧CDとの違いをメインとしてますが、違いはそんなに多くあるはずもなく、中身の中心は曲のエピソードやヴァージョン違い。必然的にヴァージョン違いはレココレ増刊の「コンプリート・ワークス」の延長線上で新たな内容の加筆・修正となってます。曲のエピソードも上級者には知っていることがほとんどでしょう。


ここまで書いてくると、「全曲バイブル」が先にでた後では「リマスターCDガイド」の分が悪いと思われますが、両者では値段も4倍近く違うし、ターゲットとしている購買層も違う。

確かに波形分析はすごい。何分何秒に編集跡、曲の頭が100分の何秒カットされている、何分何秒にテイクが切り替わる、等々。しかし、聴き比べてみてわかるのですが、実際はこれらはよ~く注意してCDのタイミングを見ながら聴いていても判別できないものも多い(分からないように編集するのだから当たり前ですが)。聴こえないようなものまで知る必要もないではないか、とも思えてきます。それに何かデジタルっぽい雰囲気が全体を覆い、読んでいても疲れてくる。重さのせいもあるでしょうが。

その点、「リマスターCDガイド」は、「耳で聞いた音」から執筆されているせいか、アナログ的な雰囲気があって、表現も分かりやすいし、読みやすい。値段も安いし、手頃なサイズ。氏のビートルズへの愛情が文章に感じられ、内容も中~上級者でも不満は感じないと思います。

データ本としてなら「全曲バイブル」があれば他のガイド本は不要でしょう。手軽に気楽に読みたい、という方は「リマスターCDガイド」がお勧めです。

最後にレココレでその森山氏が「リマスター・モノ盤は全般的にスピードが遅い」と書かれていて、その分析を期待していたのですが、両者ともそのことには触れてませんでした。どうも遅いような気がするのですが...