shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

ロック・アルバム・ベスト100

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レコード・コレクターズ誌に3ヶ月に渡って特集された60年代・70年代・80年代のそれぞれの「ロック・アルバム ベスト100」は、なにやら「民意が反映されてない!」との事でかなりその筋の読者からの反響が大きかったらしい。

それでは、と読者からのベスト100を募集したレココレ増刊が早速本屋に並んだ。

今回は60年代・70年代・80年代の垣根を外し、オールタイムでのベスト100となったお蔭で審査方法の歪もある程度解消され、拙者もレココレと同様、楽しく読ませていただいた。

 

オールタイムでのベスト100となった事で、見事に80年代ロックがフェイド・アウトしていった。レココレ執筆者陣営では100枚中12枚、読者ではたったの7枚だ。その中にBruce Springsteen「THE RIVER」、Roxy MusicAVALON」がはレココレ執筆陣とはダブらずランクインしている。

それでは、と、年齢層を見てみると執筆陣はだいたい平均年齢が48歳でしかも45歳から55歳にグシャッと塊っていらっしゃる。30代は25人中たったの3人だ。一方、読者は平均44歳で、40代後半から50代前半が多かったらしい。と言う事は、30代や若い層も執筆陣よりは分布が多かったわけだ。

にも拘らず、執筆陣よりも80年代ロックが不人気なのはどういう事か。一応、執筆者の先生方は仕事柄、80年代ロックも積極的に聞いたが、読者層は、パンク・ロック以降のロックには拒絶反応を示したのかな、と思ってしまう(何を隠そう、拙者がそうであるからだ)。

では次に60~70年代ロックに目を向けよう。これはかなり、象徴的だ。

「音楽性や曲の良さも大事だが、そのレコードが出た時代背景やその革新性、音楽界への影響度など、その理屈も大事」な執筆陣と、「無垢にいい音楽を求めた」読者という、どうやらその生態の違いがランキングに現れてはいまいか?

例えば、Beatlesで言えば、トータルアルバムとして“ロックの金字塔”と崇められる「SGT. PEPPER」よりも、いい曲の多い「ABBEY ROAD」や「THE BEATLES」が上位に来た。(しかも「ABBEY ROAD」の得票数は「SGT」のダブルスコアだ!)
Pink Floydでは、評論家筋の評価が高い、サイケ時代の夜明けを象徴する難解な「THE PIPER AT THE GATE OF DAWN」は圏外に落ち、「WISH YOU WERE HERE」がランクインしている。スーパーグループ「BLIND FAITH」も圏外で、「LAYLA」がベスト10入りの躍進だ。Boston、QueenEagles、(新生)Fleetwood Macが新たにランクインしたのもそのせいだろう。

逆に言うと、読者のベスト100は「やっぱりな」とラインナップで、「想定外」は1つもなかった。多分、「アルバム別売上ベスト100」なんかと、ほとんど変わらないだろう。

一方、ここで執筆陣のベスト100は、これはレココレ誌の個性であり、ある意味生命線でもある。実際、拙者はこれを見て「聞きたいな」を思わせるアルバムがたくさん出てきて、経済的に困っている。

まあ、ミュージック・マガジン社さんもこのレココレ3冊はよく売れたであろうし、CDショップや中古レコード屋もいいビジネスチャンスとなり、売上が上がればいいと思う。なにより、よい音楽が広く知らしめられればそれが一番である。


余談だが、
今回も堂々と1位に輝くBeach Boys「PET SOUNDS」、このアルバムって本当に「ロック・アルバム」と言うのだろうか?

いろいろな意味で。

疑問だ。