shadow_pmcのブログ (旧 ビートルズ徒然草)

ビートルズのレコードの重箱の隅を突っつくブログです。

ホワイト・アルバムのオマケのおまけ-保護紙のはなし

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UK盤「The Beatles」(通称ホワイト・アルバム)のTop Opening初版には、4枚のポートレイトのほぼ同じ大きさの1枚のペラ紙が付いていて、本国では「spacer」と呼ばれてますが、日本ではこれを「保護紙」と呼んで、これがあるものこそ「本当の完品」と崇められて中古市場でもプレミアがついているのは、ご存知のとおりです。

さて、この保護紙ですが、ポートレートと「黒インナー」の間に挟みこんで、ポートレートが汚れるのを防ぐために封入された、というのが少なくとも日本では定説のようですが、拙者は以前から疑問でした。

(理由 その1)
黒インナーで汚れることを心配するなら、封入段階でポートレートを黒インナーの上に置いて封入すれば良い。つまりポートレートの裏側と黒インナーを接触させる。わざわざポートレートの表面を黒インナーに重ねようとする必要性がない。保護紙は必要ない。

(理由 その2)
今まで黒く汚れた保護紙は見た事がない。つまり、保護しなくても汚れは移らないのでは?

(理由 その3)
存在数が少なすぎる。初盤すべてに封入されたとすれば、もっと残っていてもおかしくはない。別に邪魔になるものでもないので、ほとんどが捨てられたとは考えにくい。

(理由 その4)
US盤にも保護紙が存在する。白インナーを使用しているUS盤には、本来なら保護紙は必要ない。


そこで、拙者の仮説。

「NOWHERE Vol.20 ビートルズのサイケな1000日間(プロデュース出版2002年)」の40ページにEMIのヘイズ工場でのレコード封入作業風景の写真が掲載されています(初出はUK MOJO増刊)。ジャケット、インナースリーヴ、レコード、その他の封入物が一堂に集められ、地元のパートの?おばさんたちが並んでそれらをジャケットに封入するわけです。

写真に写っているのは「RUBBER SOUL」の封入風景ですが、この場合は1枚のレコードをインナーに入れ、それをジャケットに封入すれば済みますが、「ホワイト・アルバム」の場合はどうでしょう?ジャケット、黒いインナースリーヴが2枚、レコードが2枚、ポスター、ポートレートが4枚、(さらに保護紙が1枚)...かなり煩雑な作業量です。しかも何十万セットを発売日に間に合わさなければ

なりません。中には、ポートレートを1枚入れ忘れるといったミスが生じるであろうことも容易に考えられます。

そこで工場の封入責任者は考えました。

ポートレートは4枚バラバラで印刷するのではなく、4枚連続で印刷してもらう。そして4枚一組で抜き取り易いように、4枚毎に1枚別の紙を印刷過程で挟み込んでもらう。すると封入する手間も大幅に省け、封入もれのミスも起こらない。

そして封入作業の現場ではおばさんの中には、4枚1組のポートレートを抜いたと同時に、保護紙は「要らないもの」と思い、捨ててしまった。従って最初から保護紙の入っていないセットも数多く存在した。または逆に捨てるように指示されていたが、ついうっかりそのまま封入したおばさんもいたり、ライン毎の指示が徹底されず、保護紙入りのセットも少なからず市場に出回った...

いかがでしょうか?

ご意見、ご指摘、お待ちしてます。


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